三国志5プレイログ「二国志」~第八章:兵者詭道也

(以下の画像は史実モードで陽介と悠真に武将を配属したマスクデータです。仮想モード開始時に値を戻します)

準備期間が終わり両陣営の軍勢がそろった。


悠真「これからゲームを始めるにあたり、俺と陽介は君主となり他の武将は配下となるよう設定をおこなう。例えば俺が曹操だとするだろう?黄月英は荀彧のごとく俺にあれやこれやと尽くしてくれて、辛憲英は典韋のように片時も俺の側を離れることはないのだ」


自分を曹操に例えるだけでも身のほど知らずなのに、よくもこんな恥知らずなことを真面目な顔で言えるものだ。

悠真「そして陽介は孟獲だとするだろ?呉敦が阿会喃(アカイナン)のごとく昼も夜もお前のことを・・・」

陽介「も、もうわかったよ。つまり僕たちは劉備や曹操や孫権みたいな立場になるってことだね?」

悠真は「そう!ユーのアンダスタンドはとても早くてビーセーブだからゲームを始めるのがウィズアウトディレイでとってもトゥギャザーだね!」

何を言っているのか全くわからん。

悠真「ゲームが開始されるのは189年の12月、少帝配位し献帝を即位させた董卓が相国となり牽制をふるっている時代だな」


たしか、その後に董卓が長安に遷都をするのだったな。三国志を題材にしているコンテンツによって董卓が遷都を決定する理由が違ったりして面白いんだよなあ。

悠真「俺が登録した武将は例外を除いて全員15歳に設定をしておいた。本来ならもっと幼少の武将もいるけど三国志5は15歳以上でないとゲームに登場しないんだ。16歳の武将は4人いて大喬は小喬の姉という立場なので16歳、俺も16歳、あとは顔画像がお爺さんの武将が2人いて16歳となっている」

今の説明はゲームを始めるのに必要な情報だったろうか。別に聞かなくても良かったような気がするんだけど(笑)。顔画像がお爺さんなだけで16歳にするなんていいかげんな扱いだなあ(笑)。ちなみに悠真は僕よりも年上なので、僕を15歳、悠真を16歳に設定したのだと思う。(何人か15歳にするのを忘れました)。

そして悠真は『コホン』と軽く咳をして格好をつけると説明を続けた。

悠真「有名な反董卓同盟が結成される直前と言えばわかりやすいかな?最大勢力の董卓は群雄達から包囲をされており、後に大成する曹操、劉備、孫呉は数ある小さな勢力のうちの一つだ。全員が同じスタートラインに立って董卓に対抗しながら勢力をのばしていく。俺はこのシナリオから開始するのが一番好きなんだよ」

悠真の気持ちは良くわかる気がする。だけどゲームになれてくると大勢力になった曹操に立ち向かう時代の方が楽しくなるんじゃないかな(笑)。

悠真「というわけで、俺達は三国志の時代に降り立つわけだが、どの都市を本拠地として開始するのかも当然、天命システムで決める。お前は今回が三国志5の初プレイになるわけだから、189年の勢力図を見ながら考える時間をやるよ」

悠真は『40秒でしたくしな!』と叫ぶとPCを操作して189年12月の地図を表示する。おいおい!40秒じゃあ時間が足りないって!早く詳細を確認してしまおう。


真っ白な都市が登録武将である僕と悠真が本拠地として支配できる都市だ。荊州に本拠地を構える劉表が白っぽい色をしていてまぎらわしかったので、わかりやすいようにクリックをしておいた(笑)。とりあえず攻略本を見ながら189年のお勧め都市を調べてみたのだけど・・・うーむ、やはりというか何というか、主要な都市はすでに他の群雄に抑えられてしまっているな。人口が多く都市からの収入も豊富で2倍の兵に攻められても守り通せる堅固な都市、例えば洛陽長安成都、大河に守られた呉の首都となる建業。このあたりの都市を使いたいとなれば所有している君主を選んで始めなければ無理だ。


大勢力である董卓や劉焉から洛陽、長安、成都を奪うのは至難の業であろう。普通にプレイをしても難しいのに『二国志』では悠真との熾烈な争いが起きることが予想されるので他の軍勢を相手にする暇などないと思われるからだ。しかしながらゲーム開始直後に劉繇を倒して建業を奪い取るという手段はありかもしれない。劉繇は孫策の引き立て役みたいな末路を遂げてしまったので能力が低く設定されているのである。だって一級の都市を支配しているのにこんなに低い。


初手で劉繇を倒してしまい建業奪取を狙うのも悪くはない。もしかしたら悠真も狙っているかもしれないな。だけど攻略本をみるかぎり建業のある揚州は水軍がいないと攻略は難しそうだ。平地や山地での戦いに特化させた孫観を主力にする僕では可能なのかなあ?というわけで第一線級の都市はひとまず諦めることになるのだけど悲観することは無い。攻略本を読んで本拠地となりそうな都市に目星をつけているんだ。攻略本には戦場マップと人口や都市の開発上限が一緒に書かれていて分かりやすいので本当に便利だぜ。

悠真「あと5秒で40秒になるぞ」

まずい時間がない。目星をつけた都市とは防御には向かないけど人口が多く収入が多い地図のはじっこで敵が少ない2倍の兵に攻められても守りきれる採用できる戦略が豊富な立地、これらを基準に都市を選出したものだ。僕の素人考えだけど、いくつか紹介してみたい。それは襄平晋陽廬江上庸雲南、そして許昌である。


まず地図の右上にある襄平だけど隣の北平からしか攻め込む経路がないので防衛しやすい。敵が水軍を編成できなければ河川へ誘動して地形効果を使い撃退することもできる。内政値も高いので中原に進出した後も生産都市として活躍するだろう。難点は人口が少ないのと袁紹に負けたらゲームが終了してしまうことだ。

そしてなんか地味な位置にある晋陽。実は内政の上限値が高い都市なのだ。民を大切にして人口を増やせば名だたる大都市に負けない出力を期待できるだろう。難点は袁紹に勝てなければゲームが終了してしまうことだ。

シナリオによっては孫策の本拠地となっている廬江。商業は発展するのだが、人口が少なく米開発も低い。挙兵の地としては扱いにくい都市ではあるけれど、戦場マップのいたるところに見える河川や湿地帯を見るかぎり、敵が水陣形の大軍でもなければ2倍の兵力差でも負けはしないだろう。不敗の土地で必死に兵と人材を集めて建業を攻めても良いし、南へ進んでさらに磐石な領土を築くのも悪くない。難点は周辺都市も同じく守るに有利な水地ばかりなので空白地のうちに領土を広げなければ身動きがとれなくなるのと、孫堅に負けたらゲームが終了してしまうことだ。

上庸は開発値もそこそこ、人口もそこそこで良い都市だけど一番の魅力は立地的に柔軟な戦略を採用できることだろう。荊州の劉表に挑んでも良い、益州に侵出して成都を奪取しても良い、北へ進んで長安の攻略に挑んでも良い。どの選択も簡単ではないけどやりがいのある都市だ。

そして雲南。人口も多く開発値も高い。沼地が多くて守り易い。じっくりと人材を集めれば劉焉の領土を喰らって蜀漢みたいな勢力になることができる。これもまたやりがいのある都市だが対人戦である『二国志』においてじっくりとプレイする余裕があるかは不明なんだ。

最後はあの有名な許昌である。数年後の曹操が大切に育てた都市だけあり内政値が高く、守りやすく、人口も多く、商人がいて取引可能と空白地の中では性能が抜きん出ている。攻略本では許昌から始めろと書かれているくらいだ。難点は最大勢力の董卓の都市(洛陽!)と接しているので、開始直後に同盟をしないと1年もたたないうちに10万の兵に蹂躙されてしまうことかな。万能人間の曹操でさえ董卓が長安へ遷都した後でないと許昌を支配下に置くのは危ない。(以上この間5秒)。

陽介「独断と偏見による良都市は以上になる。たぶんこのうちのどれかを選ぶことになると思うんだけど選んだら危険な都市というのも紹介しよう」

それは魅惑の都市『漢中』だ。


漢中は上図の水色の丸で囲まれた空白都市である。四つの都市と経路でつながっており長安は目と鼻の先に鎮座している。南下すれば成都にも手が届く立地だ。いきなり2つもの大都市を狙えるチャンスがあるなんて素晴らしいと思われるかもしれない。しかし189年、現時点の漢中で旗揚げをしてしまうと、呂布を配下に従えて絶頂期の董卓と隣人になるうえ、おそらく二番手の勢力であろう劉焉とも敵対してしまう。こんな火薬庫みたいな地域で勢力を拡張しようと考えるのは、長年の雌伏から名声と人材を蓄えて生きる伝説となった劉備と天才軍師・諸葛亮のコンビくらいなものだ(それでも法正や龐統、黄忠がいなければ達成は厳しいだろう)。だけど大陸の古代戦史を学んで胸を熱くした者ならば、この都市の名前を聞いてときめきを感じてしまうはずなんだ。

陽介「まあ僕は違うけどね」

悠真「何が?性的な意味で他の男性とは違うってこと?」

いつもなら殴っているところだが長々と思案をして悠真を待たせてしまったので今回は許してやろう。

悠真「では、189年12月の勢力図は頭にたたき込んだろうから、ゲームを始めるにあたり注意点を何点かあげさせてもらう。これから俺達は仮想モードという特殊な状況下でゲームを始めるんだ。とりあえずゲーム画面を見てくれ」


悠真「血縁、相性、性格、人格、特殊能力、アイテム、敵対心、武術大会という項目が仮想となっているだろう?仮想とは史実とは違う状態で始めること、つまり上記の項目がランダムに変わるということだ(エアプ)。だから子は親を裏切って他の群雄に引き抜かれてしまうし、相性も変わるから孫策と周瑜が姉妹を娶って義兄弟になるということもない。性格もかわるので暴虐の限りを尽くすはずだった董卓が急に聖人君主になったりもするだろう。人格もかわるので怖がって一騎打ちをしない張飛などが誕生してもおかしくない。特殊能力もかわるので弓の名手だった夏侯淵は猪武者になり代わりに許褚が弓の名主となったりする。赤兎馬は誰の物になるのか予想がつかないし、群雄同士の友好度も変わるから孫策と袁術が永久に同盟関係を誓って不可侵条約を結んだりする世界になるのだ」

仮想モードという名称から、だいたい予想はついていたけど一つ恐ろしいことを聞いた気がするぞ。董卓が聖人君主になる?あれほどの大勢力が民に好かれて将に懐かれ真面目に天下統一を目指したりしたら勝てっこないじゃないか。まあ、人民にとっては幸せなことなんだけどさ(笑)。

悠真「というわけで俺やお前や配下の武将もランダムに能力が変化するわけだけど、先ほど言ったとおり元の値に戻すことにする。元々、俺と陽介軍の存在なんて仮想なんだから、そのままでも良いだろうってわけさ」

陽介「それに関しては異論はないよ。天命システムだけでもやっかいなのにランダムに能力が変化するなんて頭が混乱してしまうからね。シンプルにいこう」

悠真「注意点は以上だ。それじゃあ俺達が旗揚げをする都市を決めよう。もちろんサイコロを振るやっかいな天命システムでだ」

そういって悠真は14面サイコロを振った。初期の立地で9割方、僕たちの勝敗が決まると言っても過言ではない。さてさて、自分の望むような都市へ降り立つような言霊があったかどうか。


僕の言霊は0だぞ。どうするんだよこれ。

悠真「ふふふ、まさか俺一人だけで始めるわけはいかないからな。またサイコロを振ることにしよう。ただし、今回の言霊1つは使わせてもらうぜ」

陽介「はぁ、ついてないなあ・・・」

僕はわざとらしく溜息をついた。実はそんなについていないと思っていない。この土地決めは後に決めた方が有利だと思っているからだ。先ほど説明したとおり、万能の都市はすでに無く、他の有力な都市には鬼門がある。つまり悠真の都市の弱みを突けばよいのだ。僕の予想で奴は許昌を選ぶ!

悠真「争地とは、敵味方ともに奪えば有利になる地である。争地を奪われたら攻撃することなかれ!争地則無攻チャンピィズァウーコン!』!」




やはり悠真は許昌を選んだ。やつは董卓の矢面に立ち群雄割拠の地にて血で血を洗う道を歩むのだ。ならば僕の選ぶ戦略もしぼれるというもの。やつは必ず董卓と同盟をする。それは間違いないのだからね。

陽介「僕も本拠地にする土地を決めたよ。早くサイコロを振ろう」

悠真は無言でうなづくとスタタンッ!とキーボードを叩いた。


僕の天命は6。これならば行ける。僕が対許昌として狙っている土地は『廬江』だ。つまり赤い丸の都市を本拠地にするわけである。


廬江を選んだわけは消去法で悠真の戦略を読んだからなんだけど、悠真は10万の兵を有する董卓と同盟をするしかないだろう?よって董卓領を通らなければ行けない荊州、益州、涼州(矢印左)への侵出は無いと考えて良いはずだ。そして矢印右の徐州方面の進攻も無いと考えて良い。やってもいいけど不合理なのだ。董卓との同盟が成功しても同盟が切れたと同時に攻め込んでくることもある。悠真としては一刻もはやく董卓と戦える地盤を築きたいはずだ。右の徐州方面へ行くと曹操、劉備、陶謙と戦えば戦うほど地盤が固まるどころか敵が増えてしまう。そんな采配を2~3年も続けていれば、董卓がよほど間抜けでないかぎり洛陽から10万の兵を許昌へ進軍させるに決まっている。それに河北で拡大していく袁紹を警戒しつつ曹操、劉備と戦うのはきつい。下手をすれば勢力拡大どころか敗北もありえる。


ゆえに、董卓という脅威を抱えた悠真は黄色い丸の襄平を目指すかのように進み史実の袁紹のように河北から南下するしかないと思うのだけど、周囲を敵に囲まれながら進軍するのは困難を極めるし時間がかかってしまうだろう。一人でプレイをしているのならば楽しい時を過ごせるだろうが、二国志は競争相手の僕がいるからね。そんな悠真の前途を考えると青い丸、つまり揚州を攻め取る戦略を採用するのではないかとも考えられるけど、僕が廬江で旗揚げすることによりそれも不可能になる。僕の方が先に揚州を平定するに決まっているからだ。なんせ隣に建業があるからね。僕は悠真が董卓と同盟するのと同様、荊州の劉表と同盟をして江南をたいらげていけば良いのである。悠真が河北を制圧する頃には荊州をも手中におさめているだろう。そして董卓と一緒に悠真を挟撃すれば良いのである。

陽介「それじゃあ、言霊を唱えるよ」

呉子には水攻め、水軍等が記述された篇があったはずだ。あの文章を唱えれば僕は廬江にて旗揚げが可能になる。

陽介「僕の次の一手で勝ちは決まる。ゲームが始まる前に勝負は決した」

そう、当たり前のようにプレイをしてあたりまえのように勝つ。しばらくはコンピューター相手に戦争をしながら悠真のプレイを眺める時間が続くだろう。悠真と戦うのは数時間後か、十時間後か。どちらかの地盤が固まった後に一戦すれば終わるだろう。勝負の準備に10時間、肝心の勝負は数分か・・・ははは・・・。

陽介「呉子曰く!」

言霊を唱えようとする刹那、僕の脳裏に東欧の政治家の顔が浮かんだ。

陽介「呉子曰く!十の兵で百の敵を撃つには険しい山地をで戦うべし!以一撃十イーイィジーシィ莫善於阨モォシャンイーアイ!」




僕は漢中で旗揚げをした。

陽介「ははっ。要害の地を取れて良かったよ。漢中ならば守るも攻めるも思いのままってわけさ」

僕は苦笑いをしながら悠真に話し掛ける。廬江がベストであったと思われるけど漢中も悪くはないだろう。変わったのは江南をたいらげる戦略から益州、涼州を手中におさめる方針に変わっただけだ。この1年は董卓と劉焉相手に外交をしながら暴れてみせることになるがチャンスさえつかめば司隷へ侵出して長安を獲ることも夢ではない。それに強敵のいない揚州なんかで戦うよりも楽し・・・。

悠真「漢中で旗揚げした方が楽しめると思ったか?河北で始めるよりも荊州で始めるよりも揚州で開始するよりも漢中の方が俺と董卓を挟んだ外交戦で楽しめると思ったのか?」

陽介「ゆ、悠真。何を言っているんだ。いいがかりはよしてくれよ」

確かに揚州の大河は大軍の侵撃を阻む。だけど二国志のルールでは水陣形の獲得が容易じゃないか。だから山岳で旗揚げした方が磐石だとも思ったんだ!

悠真「気分は漢中王か?司隷、涼州、益州、荊州。機会さえつかめばどんな相手にだって勝てると思ったのか?」

陽介「だからどうしたんだ!漢中は撃って出やすく守るに固い都市だ!臨機応変に対応すれば天下をうかがえる。それは歴史が証明しているんだ!」

悠真「孫子曰く!敵に行動を起こさせたのち、地形の急所を見つけだせ!形之而知死生之地シンチィアルチィスゥシャンチィピィ!」




えっ!?悠真が漢中の隣にある都市『上庸』へ移動した!!

悠真「俺は作戦行動に浮かれたり戦いに楽しさを見出すような人間が大嫌いなんだ。負けたけど面白い勝負だったと思い返す行為も好きになれない」

こいつは何を言っているんだ?何だかどこかで聞いたことのあるようなことを言いやがって。



悠真「だから俺は勝つための行動しかしてこなかった。最初から今まで勝つことしか考えていない」

陽介「そんなの僕も同じだ!僕だって勝つために必死になってゲームのルールを覚えたりしたんだ!」


悠真のやつ。どこかで聞いたことのあることを言っていると思ったら、僕が頭のなかで煩悶していたことと同じことをしゃべっているじゃないか。

悠真「だけど陽介、お前は今までの行動を後悔しなくても良いし、くやしがったりする必要もない。あの時どうすれば良かったとか。自分のターンが先にくれば良かったとか無駄にくやしがる必要はないんだ」


悠真「なぜなら俺はもう・・・ずいぶんと前からすでに・・・」


悠真「勝っていたのだから」


陽介「くそっ!うわああああ!」

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