189年12月 陽介のターン


陽介「ようやく武将の編集が終わったね!」


悠真「うむ。なかなか有意義な時間を過ごせたな」

僕たちは登場している全ての武将の特殊能力をルールに規定されたものに変化させた。僕が攻略本で能力を確認して悠真が入力するという手順で行ったから5分もたたず終わったよ。もしこれを一人でやったとしたら頭がおかしくなっていたかもしれないけどね。

陽介「さて。189年12月を終わらせるとするか」

悠真「・・・」


僕たちがプレイしているシナリオ『洛陽炎上』は189年12月から始まる。つまり、まだ僕たちはゲームを開始して一ヶ月たっていないのだ。ターン制で例えれば1ターン目である。その1ターンの間に展開された攻防で僕は最大勢力の董卓と同盟できず本拠地を捨てることになり、悠真は兵糧不足で荊州を逃げ回るというお互いが滅亡手前の状態に陥ってしまった。

陽介「まあ人間同士が本拠地を隣接して開始すればこんなものだろう。さてこの12月が終わったあとの行動なんだけど・・・」

三国志5では民からの略奪とか同盟国からの援助とか商人からの購入などを除くと、7月になるまで兵糧を得ることはできなかったはずだ(たぶん)。来月から毎月合戦を仕掛けたとすると。


陽介「1月永安へ進攻、2月武陵へ進攻、3月零陵へ進攻、4月桂陽へ進攻と順調に攻略をしていけば7月までに悠真を滅ぼすことができる(気力は言霊で回復)。孫子の言霊で邪魔をしてくるだろうが1回や2回、邪魔をされても7月には間に合う計算だ」

呉子の言霊はなるべく募兵や訓練に使用する。容赦はしない、よほど天命に片寄りが生じない限り徹底的に叩き潰せるはずだ。

悠真「では12月を終了させろ。サイコロを振る準備はできている」

悠真の言葉に僕は頷くとターン終了のボタンを押した。

陽介「いくつかの勢力が同盟をしている」


そりゃ同盟のひとつやふたつ行われるだろう。同盟をして背後の危険を取り除いた後に内政を行うのが定石であるとは思う。お互いが同盟をした後に反則技のような手段で解消して戦争を始めるなんて僕達くらいだろうな。

190年1月

悠真「むっ!」


どうやら悠真の元へ在野の武将が駆けつけたようだ。

陽介「蒋欽(ショウキン)か・・・。これも天佑だろう。きっと、どこかで役に立つはずだ・・・」



悠真「こいつがいれば大河で孫観の動きを止められるな!ははは・・・」

たしかに水陣で孫観の渡河を遅らせることはできるだろう。しかし、そうと分かっていれば速攻を使って振り切ってしまうぞ。

陽介「武将・・・欲しいな・・・僕には配下が3人しかいないし、そのうち2人は漢中に置いてきてしまったんだ」

実は先ほど武将を編集した際に特殊能力が強くて自分の相性に近い武将をお互い見つけてしまったのだ。次にターンが回ってきて天命に恵まれた者が、その武将を手に入れることができる。あるいは相手の配下になるのを阻止できるのだ。

悠真「さて、そろそろ俺達のターンがくるかな?おや?」


陽介「ん?なんだこの評定ってのは?」

お互いの間で張り詰めた緊張が一瞬とぎれる。

悠真「三国志5では1月に評定を開いて一年の目標を決めるんだ。目標を達成すれば名声が上昇する。毎年これを達成しないと、いつまでたっても行動回数は3回のままだぜ」

なるほど、僕の目標はどうしようかな。悠真のやり方を見ながら参考にしよう。

悠真「ちなみに6種類あるコマンド(軍事、内政、計略、外交、人事、特殊)のうち4種を配下が担当していないと評定は発生しない。お前は配下が3人だから今年は評定無しだ」

非常に残念な報告を聞いた後、画面は悠真の評定へと変わっていった。


悠真「俺は武将数が多い場合、内政を1年の目標にしている。武将数の少ない初期設定で始めた時は金を出せばなんとかなる外交、つまり同盟を目標にすることが多いな。今の状況では永安から戦略的撤退をする可能性があるので内政を選択することはできない。同盟も言霊で破棄されるから外交を目標にするのも無理。達成できなければ名声が減ってしまう。ゆえに今年は目標無しにしても良いのだが・・・」

そして悠真は董卓領を調べ始めた。


悠真「どこかの都市で一勝でもできれば陽介の勢いは止まる。そうすれば武将数の多い俺の方が強靱な国を作れるはずだ。そして名声を上げることにより陽介に与えられる心理効果を考えれば、ここは達成の見込みは薄くても人事と目標を定めよう」


もし1年後に悠真が目標を達成できていない時は、きっと富国も強兵も成せずに滅んでいるだろう。次かその次の戦いで僕たちの勝負は決まる。継戦能力を失った方が敗北するのだ。二国志においては三国鼎立のように勢力が拮抗することは無いのだから。

陽介「おや?どこの勢力だ?合戦が行われたみたいだよ?」

曹操が孔伷の治める譙へ攻め込んだみたいだぞ?



陽介「孔伷は許昌へ敗走していった。曹操もわざわざ兵を減らしてまで譙を獲らなくったって空白地の許昌へ武将を送れば良かったのに」

あ、いや、許昌に行くと董卓と領土が隣接してしまうのか。孔伷が許昌へ拠点を移したことにより董卓を刺激して洛陽にいる10万の兵が動くかもしれない。そうすれば漢中から長安へ攻め込んで・・・だめだ、今さら漢中へは戻れない。もう悠真を押し潰すために上庸へ攻め込んでしまったのだから。

190年1月 悠真のターン

陽介「悠真のターンが先にきたか!あっ!漢中に董卓が攻め込んでこなかったぞ!本音では攻め込んで欲しかったんだけどな・・・」

漢中へ兵が進攻してくればコマンド消費無しで曹節と呉敦を上庸へ移動させることができた(つまり、逃げる)。せこい考えだけど合戦を継続させるには移動の手間も惜しいんだ。


悠真「まだ董卓は1月のターンを済ませていないようだからわからんぞ。俺は群雄の中でも早いうちに順番が回ってきたみたいだな」

董卓は許昌と漢中のどちらへ動くのか。それとも動かないのか。まあ、がら空きの漢中だよなあ(笑)。

陽介「はやくサイコロを!今月の天命しだいではどちらかが滅亡しかねない!」

悠真は『そうだな』と頷き、サイコロを振った。そして・・・。


悠真「うう・・・くそっ・・・天運が尽きたか・・・」

悠真は今にも泣きそうな顔で呻く。言霊は0だけど僕だって2個と多いわけではない。まだ逃げ道もあるのだから、1ターンくらい天命に恵まれなくても仕方ないとは思うだろう。だけど、このターンに言霊の数が0なのは致命的なのである。なぜなら僕たちは知っているからだ。悠真が逃げる先の荊州南部には江南の虎がいることを。


悠真「くそっ!天命さえあれば!あいつを何とかできたものを!このままでは挟撃される・・・も、もう終わりか・・・」

そして虎の配下には彼の武将がいることを知っているからだ。


悠真「天命さえあれば程普(テイフ)の動きを止められたのに・・・うう・・・もうだめか・・・」

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