190年2月 悠真のターン


悠真「孫堅は?やつらは2月の行動を済ましているのか!?」


悠真は目を見開きながらPCの画面に見入っている。どうやら孫堅は行動を済ましていないようだけど?悠真もそれを確認し頬笑むと高らかに叫んだ。

悠真「これにて我が計略。『天下三分の計』は成った!!!」

陽介「・・・はぁ?」

悠真の虚言癖はいつものことだけど、今回は何と言った?天下?三分?あまり触れないでそっとしておいてあげようかな。

悠真「はっはははは!この2月のために俺は3つの計略を用意していた!孫子曰く!こちらが戦を望まない時は敵の行く先をそむけよ!乖其所之也クァイチィスォチィイェ!」




ぐわっ!僕は劉表との同盟を破棄させられてしまった!今から同盟の言霊を探して再度、同盟を結ぼうか?もう呉子には外交の言霊は無かったんじゃないの!?どうしよう!?

陽介「呉子曰く!楚の国は性弱し!ともに争い戦うことなければ、勝利を収めることができるだろう!勿与争戦ウーイィチャンチャア!」




僕はなんとか外交の言霊を探して再度劉表と同盟を結んだ。おい!もう同盟をする言霊が尽きたぞ!次に同盟を破棄させられたら劉表や劉焉が永安へ進攻してくる!

悠真「用意してきた3つの計略のうち1つは『二虎競食の計』だ。内容は荊州の劉表との同盟関係を破綻させて共倒れを狙うというもので、お前より言霊が2つ多い場合に採用するつもりだった」

『二虎競食の計』とは荀彧が曹操に献策した計略で劉備と呂布を争わせて漁夫の利を得ようというものだ。あの計略で肝心なのは同盟関係の破綻ではなく勅命を使うところじゃないの?ここで『二虎競食の計』を引用するのはおかしくない!?いやいや、ネーミングなんて適当につけているんだろうからどうでもいい!このままでは永安で挟撃されてしまう!

悠真「孫子曰く!」

陽介「呉子曰く!人民が為政者を信頼していれば、則ち守り固し!国は乱されることないのだ!則守已固矣ズゥシャオイ-クゥイィ!」




僕は悠真が『国を乱す』言霊を使用することを禁じた(言霊1回分)。悠真が僕と劉表の外交を破棄させようとした場合は外交に関する言霊を2つ連続で使用しなければいけなくなるんだ。いくら孫子といえども、同盟を破棄させろ、敵国の関係を裂けなんて言葉がいくつもあるわけない。万が一、再び同盟を破棄さえられてしまった場合は劉表が攻めてこないことを祈るか、僕のターン開始時にコマンドで同盟を結べば良い。金は減るが兵は呉子の言霊で増やすことができるのだ。

悠真「なにやら焦っているみたいだが抵抗しても無駄だ。俺はお前より言霊が少なくても優位に立てる算段をつけておいたからな。用意していた計略の2つ目、言霊がお前と同数か少ない場合に使用するはずだった『駆虎呑狼の計』。こいつは荊州南部にお前を誘いこみ孫堅に襲わせる謀略さ。この2月に言霊の数で大差をつけられてしまった場合は静かに準備をして実行は来月に持ち越しをしていただろう」

『駆虎呑狼の計』って!それも荀彧が曹操へ献策した計略じゃないか!確か劉備と袁術を争わせて呂布に裏切る機会を与るという策だったよな?孫堅を呂布のように操ろうということ!?どうせ思いつきでネーミングをつけているんだから内容の整合性にツッコミを入れてもしょうがない!結局、悠真は何をしようとしているんだよ!?

悠真「お前より言霊が1つ多く、孫堅が2月の行動を済ましていない場合に実行しようと考えていた3つ目の計略。それがこの『天下三分の計』だ!!!くらえっ!!!」





悠真は全軍を『零陵』へと移動させた。

陽介「なんだか僕を武陵へ進攻させて言霊や物資を民忠の上昇に使わせようという、今まで通りの戦略に見えるんだけど・・・」

『天下三分の計』は諸葛亮が提唱した有名な大戦略だ。こんなことを書いたら怒られるかもしれないけど『天下三分の計』が成されてようやく三国志と呼べる状況になり、それまでの激戦は曹操の飛躍や独壇場を楽しむ戦史という見方もできるんじゃないか。孫呉も江南で激戦を繰り広げたりしているけど、そこまで三国志には詳しくないのです。

悠真「ここで楊醜を『桂陽』へ移動させると最善と呼べる状況になるが(言霊で再行動させる)、お前のターンが孫堅よりも先にまわってきて武陵へ進攻してしまうと計略が破綻するんだ。ゆえに2つの都市を確保するよりも零陵に4万の兵を駐屯させて確実に計略を成すことを優先する。以前も言ったとおり俺は投機的な行動が嫌いだからな」


そして悠真は『ふ・・・ふあっはははは!』などと笑いだした。なんとなく悠真の考えていることが分かってきたけど、僕の予想では言葉に反して投機的な行動であるし、実現は無理なんじゃないのかな。

悠真「なんだ?まだ『天下三分の計』が何を意味しているのか分からないのか?くくく・・・はっはははは!」

はぁ?わかるよ!天下三分の計と呼ぶには稚拙な内容ではあるけどやろうとしていることの予想くらいつく!

陽介「悠真は孫堅が武陵へ進攻するのを期待しているんだよね!?そうすれば僕は悠真の都市へ隣接することはできなくなる。そして荊州と益州の狭間で孤立をしてしまうんだ!」


陽介「しかし、孫堅が武陵へ進攻するか分からないし、僕のターンが先にくれば孫堅が進攻する前に武陵をおさえるよ!なにより人口が少なく零陵から4万の兵が援軍として駆けつける(とAIは予測する)悠真領の武陵なんかよりも他に攻め込む都市はいくらでもあるじゃないか!」

悠真は僕の指摘など気にもとめずに言葉を続ける。

悠真「俺が唯一危惧しているのは、お前が武陵へ進攻してコマンドで金を使い孫堅と同盟をすることだ。そうなれば『天下三分の計』は破綻してしまう。しかしお前は『上庸』、『永安』、『武陵』と3都市の民忠を上げながら周辺都市との外交関係に気を配らなければいけなくなるよな?その間に俺は兵と兵糧と人材を集めて反撃をするのさ。お前は俺を荊州南部へ追い詰めていたつもりかもしれないけど、俺におびき出されていたというわけだ。これを『反客為主の計』という」

用意していた計略は3つじゃなかったのかよ!ただ単に今思いついたんだろう!?『反客為主の計』とは夏侯淵に捕らわれた陳式を救出するために劉備の参謀である法正が献策した計略だ。今の局面に例えるのは全くもって正しくないから!しかし確かに悠真の言うとおりの状況になったら僕は優位だと思っていた立場から一転、窮地に陥ることになる。だけど孫堅は絶対に武陵へ進攻しないはずだ!孫堅が動いたとしても空白都市の『予章』や『桂陽』へ移動するに決まっている!なぜわざわざ群雄がひしめく武陵へ進攻すると断言できるんだ!


悠真「そろそろ、『天下三分の計』の種明かしをしてやろうか。三国志5のAIは空白地への移動よりも群雄が所有する領土への進攻を好む傾向があるんだ」



陽介「えっ・・・そんなの嘘だ・・・不合理だよ!あり得ない!」

悠真「不合理でもないしあり得なくもない。むしろ周辺勢力の拡大を放置して空白地を占領していく方が不合理だという考え方もできるしな」



悠真「だから孫観を武陵へ進攻させたとしても孫堅が空白地へ移動する可能性は低い。陽介軍は武陵へ進攻したら大金をはたいて孫堅と同盟を結ぶしか道はないというわけだ」

僕が武陵へ進攻した後に孫堅と同盟をしろというのならば共同戦線を張って共に悠真がいる零陵へ攻め込めばいいのでは?・・・いやだめだ、悠真には桂陽という最後の逃げ場所がある。そして言霊で孫堅や劉表との同盟を破棄させて僕が大勢力に囲まれる状況を作り出そうというのか。ええと?たしか悠真が『駆虎呑狼の計』とかほざいていた局面になるわけなの?くっそー!むかつく!!

陽介「だけど孫堅が100%武陵へ進攻するかどうかなんて断言できないはずだよ。それに僕のターンが先にくれば何か方法が・・・」

悠真「孫子曰く!勝を知るには五つの原則がある。衆寡の用を識る者は勝つ!識衆寡之用者勝シィチォクァチィヨォジャアシャン!」




悠真は零陵の民忠誠度を65にした(天命×言霊数をプラス)。あいつは本気で零陵を本拠地にするつもりだぞ!ほ、ほんとうに孫堅は武陵に進攻するのか?・・・あれ?

陽介「やっぱり孫堅が武陵へ進攻するのはありえない!だって孫堅は今までずーっと他の都市へ攻め込まなかったじゃないか!AIが空白地よりも群雄が所有する都市への進攻を好むのならば劉表領へ攻め込んでいてもおかしくないのに!」

悠真の理屈によると孫堅がどうこうする以前に兵力で勝る劉表が孫堅領へ進攻しているはずだ。武将の質を考えれば勝敗は五分だが劉表の兵数は9万だろう?孫堅の2倍はいるじゃないか!

悠真「孫堅や他の群雄が今までそう簡単に進攻をしなかったのには理由があるのだ。それはこいつだ!」


悠真は画面に映し出された『野望』という数値を指さした。孫堅の野望は『2』だ。おそらく他の武将と比較したら低い数値だと思うけど、この『野望』のせいで孫堅は進攻をしなかったって!?

悠真「これだけ低い値なら俺が荊州南部をうろうろしても孫堅は攻め込んでこなかったかもな。わざわざ同盟なんぞ考える必要はなかったわけだ。しかしこれからは変わるぜ。孫子曰く!その疾きこと風の如く、その徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと陰の如く、動くこと雷霆の如し!侵掠如火チンリェルゥフォ!」




孫堅の野望が12となった(天命×言霊数をプラス)。

悠真「お前が国を乱す言霊を使用不可能にした時は焦ったぜ。おかげで風林火山陰雷を使うはめになってしまった。こんなに有用な文言は自分に使いたかったくらいだ!!」

孫堅の『野望』が10プラスされただけで荊州の情勢が変わるなんて嘘だろ!?何も起こらないはずだ・・・何も起こらないはずだ!何も起こらないはずだ!!!


悠真「それでは2月のターンを終了させるぜ。なんだよ、そのアヒルが間違えてガムを飲み込んじまったみたいな顔は。淡い期待を寄せても無駄だ。言っただろ?俺は投機的な勝負をするのが嫌いだってな」

そして悠真はターンを終了させた。



悠真「狙い通り孫堅は武陵へと攻め込んだようだな。これにて我が計略、『陽-孫-悠』の『天下三分の計』は成った」

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